民法大改正〜成年後見制度への影響は?〜

私たちが生活をしていく中でのルールが定められた法律である“民法”。

この“民法”について、契約や債権に関する条文が来年2020年4月1日から改正されることをご存知ですか?

民法改正

民法は第1条から第1043条まであり、その内容は大きく分けると“財産に関するルール”と、“家族に関するルール”の2つのことが決められています。

“財産に関するルール”には基本的な決まり事や、所有権、契約、債権等に関することが書かれていて、“家族に関するルール”には親族関係や相続関係等について書かれています。

現在の民法は、明治29年(1896年)に制定されて以来一部分の変更に留まっていました。

今回の改正は、改正される項目の多さに加えて、考え方や仕組みも変更されることから、民法が制定されて以来、約120年ぶりとなる大幅な改正と言われています。

改正はいったいどのような内容なのか、また民法で定められている成年後見制度への影響はあるのか、という点を見ていきたいと思います。

現代社会に合った一般市民にわかりやすい民法へ

今回の改正は、企業や消費者の契約ルールを定める債権関係規定(債権法)に関して大幅な改正が行われているため、まずは契約関係の主な変更点を見ていきましょう。

・債権の時効を「権利を行使できると知ったときから5年」又は「権利を行使することができるときから10年」に統一

・法定利率を5%から3%に引き下げたうえ、市中の金利動向に合わせて変動することを導入

・事業用融資の保証人になるためには公証人による意思確認が必須とする条文を新設

・賃貸借契約の敷金の返還や原状回復について今までは一切記載がなかった大家負担、借主負担等のルールを明文化

・WEBでの会員登録の際などに表示される定型約款は契約の一種であるとしながら相手方の利益を一方的に害する条項は無効と新設明記

・認知症などで意思能力が無い状態でした行為は無効とする”意思能力制度”の明文化

これらの内容を見ていくと今回の改正は現代の社会経済の変化に対応し、国民一般にわかりやすい民法を目指していることがわかります。

民法ができた明治時代と現代では、契約が多様化し、高齢化が進み、インターネットでの取引が広く普及していることなどから、法律が時代に対応していない部分が多々ありました。

そのため時代の変化に合わせて“民法”も変えよう、ということが今回の改正の目的となっています。

成年後見制度に関する条文は変更なし

現在の民法では、認知症などで判断能力が衰えた人の権利を守るために成年後見制度が定められています。

精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる。

【民法第7条】

今回の民法改正は、債権関係規定(債権法)に関する変更がメインであるため、後見制度に関する条文には変更はありません。

そのため、今回の民法改正が成年後見制度に直接的に与える影響は少ないと言えるでしょう。

ただし、判断能力が衰えた人の権利保護をさらに強く行うことを目的として、“意思能力制度”が明文化されます。そのため、民法改正の結果、成年後見制度を取り巻く環境には変化がありそうです。

この“意思能力制度”については、成年後見制度と深く関わる部分なので次回にゆっくり見ていきたいと思います。

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